デカい画面!

a1. 『トップガン:マーヴェリック』(ジョセフ・コシンスキー

a2. 『壁にぶつかる頭』(ジョルジュ・フランジュ

 

 

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今回はIMAXエキスポシティまで見に行く。いやあ~最高でしたね。座っていた席番号がF-16とニアミスなのも嬉しい。コシンスキー監督は、一時期のブライアン・シンガーのキャリアと重なるところがあるというか。『ユージュアルサスペクツ』(こちら脚本はマッカリー)に『ゴールデンボーイ』と、やりたいことは非常に良く分かるけどつまらない映画を撮っていたシンガーは、2000年『X-MEN』で才能が開花しましたね。言葉の正しき意味で通俗娯楽たり得ている素晴らしい映画。それ以降ヒーロー映画ばかり任されるシンガーは、2008年には『ワルキューレ』(これもマッカリー脚本&トム・クルーズ主演)というこれまた中途半端な映画を撮っていますが、これは再びナチスもので、シンガーにとっては商業/作家とを切り分けて考えているのでしょうが、彼の才能を活かせるフィールドは間違いなく通俗娯楽の方。コシンスキーも『オブリビオン』・『トロン/レガシー』という作家的で中途半端な映画を手がけた挙げ句、『オンリー・ザ・ブレイブ』で何かを見つけ出した。ただ、あまりに仕事を選ばないでいるとシンガーみたく疲れてしまうと思うので、無理はしないように。

戦闘機に付けられたIMAXカメラなど、撮影技法が取り沙汰されることの多い本作ですが、意外にも、肝心の戦闘機が飛び回る映像の使用は抑制され、メインは役者の顔・顔・顔である。9G負荷がかかる急上昇の際も、脂肪にG負荷がかかった情けない顔と、意識が遠のいていく様子を表現したその目線カットで済ませてしまい、例えばコヨーテがGショックを受ける場面では、カメラが戦闘機の外に出るのは覚醒したコヨーテが地面すれすれから急上昇させるカットのみで、これは非常に効果的である。対して『トップガン』では、敵国の操縦士のヘルメットが早々に映ってしまったりと、顔を挿入するタイミングがイマイチ。そして戦闘機を見せすぎ。顔のつるべ打ちで最も驚かされるのはダガー1~4が一斉にSAMに射撃される場面で、混乱しそうなものだが、コシンスキーはそれぞれの顔と撒かれるフレアだけでつなぎ、最後の最後で四基とミサイルとフレアが入り乱れる凄まじい引き画一発。うーむ、良い。

クレジットではIn Memory Of TONY SCOTTと本作を捧げているが、トニースコットの良い所は、彼の作品はたとえ暴走する列車や地下鉄がハイジャックに遭ったりしても、全く真実味がない点。トニースコットは、カメラと被写体の間に余計な思念だったり社会性を盛り込まない。そういった意思を本作にも感じましたね。

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これを超える癲癇描写てないのでは。精神病院から逃げ出す際、一緒に逃げていた男が突如癲癇の発作を起こす、そのタイミングが絶妙だ。身体中に力が入り強ばるので舌を噛み千切ったのか、口からは血が。印象的な癲癇と言えば近年では『オールド』だが、こちらはそれほどの見応えはなく、レストランで食事中にいきなり倒れる、ただのショック描写である。素晴らしかった、もう一つ、特に評価したいのはジャンピエールモッキ-が精神病院に収容されるまでの間の飛ばし方。