明日からは熊本です

a1. 『チェンジリング』(ピーター・メダック)

a2. 『エリア0』(マッティ・ベッカーマン)

 

 

a1.

取り替え子モノとしてはあまり嬉しくはない予想外の展開であった。光っていたのは人間の動きに合わせず勝手に家中を動き回るカメラワークが、めちゃくちゃ恐い。特に階段を上るカット。それから精神を疲弊させるあの音。ラップ音的な感じではなかった。降霊会シーンも中々恐かった、あそこまで溜めるからこそ、ラストのグラス吹っ飛びが映える。また「リング」参照元の一つ?なのだろうか、幻視した地獄の光景が家の地下にある、という恐怖。

 

a2.

「ブラウン山の怪光」が題材のPOVモノ。またPOVか、と案じていたが、自閉症の子供はカメラを構えることで安心できるというアイデアは中々良い気がする。アブダクトされていく際のPOVカットなんか、すごいちゃちいけど、盛り上がった。UFOがどうしてカメラだけを吐き出したのか、には一切触れられない。ただ中身は相当退屈でした。よかったキャラは、中年になっても二人で山奥で生活している兄弟。「脱出」なんだろうけど、ああいうキャラ必要よな。

ムムム

a1. 『PMC ザ・バンカー』(キム・ビョンウ)

a2. 『ラストシフト/最後の夜勤』(アンソニー・ディブラシ)

 

 

 

a1.

戦争映画のエンディングはやっぱり空。爆撃機が登場したりすれば締まった気がする。中国空軍の爆撃機が何だったのかは確認できず。米軍側が証拠隠滅に用いたのはB-21戦略爆撃機で、モニター越しにしかそのビジュアルを見れないのが残念でならない。基本的に指令室にいるハ・ジョンウと、モニターに映る、ボディカメラで撮られたバンカーで死闘を繰り広げるPMCメンバーたちという構図でドラマは進む。北朝鮮人医師を探し出す班も二班入れば、中国軍に足止めを食う班もいたりで、同時多発的に起こる出来事をわかりやすく処理しているのがうまい。

 

a2.

これはアイデアが光る秀作。そしてジャンプスケアがやや弱く、恐怖のヴァリエーションも少ないのでリメイク向きの映画でもあった。余りにも激しく揺れる電話機のカットはよく思いついたな、と感心。「プロメテウス」的な再現映像の処理も良かったが、よもやスクリーンに投影されるあの世が見れるとは。死んだ警官が良い味出していた。

ひさしぶりの更新です

a1. 『ブラックフット クマ地獄』(アダム・マクドナルド)

a2. 『アウトポスト37』(ジャバー・ライサニ)

 

 

うわー、ひっさびさの更新やなあ。1週間近くさぼってた。実際ここ最近は友達と酒のんでだらだらしてただけなので、何もブログに書くことはないのだけれど。

 

 

a1.

途中「アポカリプト」の、ジャガーに追われるジャガーパウ的カットがあったのは想定外で嬉しかった。ゴアにはたいへん力を入れていたのも偉い。

 

a2.

ところどころ演出の手を抜きすぎてるカットがあるのはもったいないが(「第9地区」的なアクションはキツかった)、パキスタンアフガニスタン国境地帯にエイリアンが潜んでおり、地元民を洗脳して次々と送り込んでくる設定は面白いし、荒野にドデンと宇宙船が聳えるカットも印象に残る良いカット。前哨基地モノは、だらだら日常パートと敵の急襲にあってからの落差こそ見せ場だと思うので、そのテンポをちゃんと捉えているのはしっかりしてる。そして手術台も出てくるし、「大好き」インプラントもあるので、文句なしです。終わり方は衛星の落下、エンディングで空に何かが飛んでいれば映画は締まるのか?クレジット後に「鋼鉄の雨」描写あり。

アクションデーその3、否ジョナサン・モストウの日

a1. 『U-571』(ジョナサン・モストウ

a2. 『F-16』(ジョナサン・モストウ

a3. 『オーヴァーロード』(ジュリアス・エイヴァリー)

b1. 『狂気の山脈にて』(H・P・ラヴクラフト南條竹則訳、2020)

 

 

 

たびたび言及されるのはポオだけに限らず、ニコライ・レーリヒという画家。このブログが非常に面白いので引用しておく。最近はヒマラヤに興味があるので、レーリヒについても色々調べていきたい。

blog.goo.ne.jp

間違いなくこの絵画は念頭にあったでしょうな。「チベット

 

 

a1.

U・ボート、潜水艦ものとしては物足りない。艦内がかなり整理整頓されているし、もっとオイルで汚しておいて欲しかったところ。こんな荒唐無稽に思える作戦が実話に基づいているのには驚きました。作戦実行する過程はなかなか見れる。

 

a2.

サイコウ!空軍が舞台の「殺人者はライフルをもっている」。実際にはライフルもF-16も核も持っているのですが。一切の同情の余地のないテロリストの造形は非常にアクチュアルで、未だ毒のある映画。もし「トップガン」のマーヴェリックの幼児性が暴力性へと転化してしまったら、アイスマンがいなくて孤独だったら、とネガティブにネガティブに妄想していくことで生まれた作品であるのは間違いないと思う。結果だけを淡々と見せる編集の切れ味も鋭い。おそらく予算の都合上実現ができなかった、国道沿いを音速で低空飛行するF-16、というカットは見てみたかった。

 

a3.

おもしろかった。ナチスに占拠されたフランスの田舎の教会の、塔では妨害電波を発して連合軍空軍の侵入を防ぎ、地下では人体実験をやっている、という色々を一つの場所に集約するアイデアが良かった。見ていてダレるところもほとんどないし、腕あるなあエイヴァリーさん。中盤からはしっかり作戦遂行映画の旨味を出してくるあたりもさすがで、今作で見つけた最高の俳優・ジョンマガロが乗ってきだすらへんからは最高。「塔を落とせ!」は全映画で聞きたい。オープニングの熱気もすごく、夢を見ているみたいな、偽史を扱う映画を始めるにあたっては最良のバランスだと思う。あんな狂った降下隊もない気がするけど、ほんとはあんな感じやったんやろうか?

 

b1.

ランドルフ・カーター」は小品ながらも沼地と電気が出てくる、ラヴクラフトの中でもかなり映画的な面白さに溢れた一篇。「狂気の山脈にて」は圧巻ですよね。やはりラヴクラフトは言葉の向こう側に行こうとした人だと思います。麻薬におぼれた夢見人だけが想像しうる(『ネクロノミコン』の著者のこと)異形の何か、という表彰不可能性と対峙している面白さ、それからダンフォースは『ネクロノミコン』を読了しているが故に、氷地下で見た「粘液の悪魔」に狂わされ、ショゴスのように共鳴してしまう、とこの二点が独創的で面白い。ここにも再びコレスポンデンス=照応がみられる。照応するものは5角形や、テケリ・リ!もそうですね。照応はオカルトの本質であり、また恐怖の本質にかかわっていると思います。そして(生物学的に驚天動地!)放射相称動物が人類の起源である、裏を返せば人類の基となった生物がグロテスクに描写され、彼らが南極の山脈の地下奥深くに潜んでいるというビジョンがまあ、恐い。退化した人間、というモチーフも見られる。

アクションデーその2

a1. 『U・ボート [ディレクターズカット版]』(ウォルフガング・ペーターゼン

 

 

 

ジョナサン・モストウが『U-571』を撮っているそうで、これだけは見たい。モストウは『F-16』も積ん見中なので、明日2作合わせて見てみよう。

F-16(ファイティングファルコン)は胴体と主翼が一体化しているのがカッコいいし、だいぶ軽量化されているみたいだけど、F-14可変翼も捨てがたい。今現在アメリカでは運用されていませんが、イランには大量にありますね、『マーヴェリック』でも活かされていた。

F-16

そういえば先日F-14(トムキャット)のTシャツを買ったよ。

F-14 (戦闘機) - Wikipedia

 

 

 

 

a1.

やっぱり面白い。とてつもなく神経が疲弊する、3時間30分のディレクターズカット版を見ました。この長さも必要に思えてくる。とくに胸に迫る名場面は、長年ユルゲン・プロホノフと連れ添った相棒である機関士が、もう助かる可能性はないことを知りながら「艦尾の修理が完了した」と報告するカット、それに対し艦長が「よくやった」と応える。海中は音が響くため、ひそひそ声で話さなくてはならない状況も、普通の大局的な戦争映画では見られない。また酸素がだんだんと不足して来、みな酸素ボンベをつけてへろへろ、どろどろになりながら眠るさまをヨハン(『アングスト』の人!)が目にするカットはたいへん印象的で悪夢的であった。一度は海底に沈んだU-ボートをもう一度再浮上させる際、艦尾・艦首を傾けるために艦員が前へ後ろへ移動する動きは、どこか『飛べ!フェニックス』的な荒唐無稽さもあって、かなり良かった。また、これといった主人公然としたキャラクターがいないのも特異に感じる。従軍記者や、艦長、機関士、ヨハン、など目立つ人はやはりいるが、中心が不在。

本作は新たな可能性を提示した、ブレイクスルーだったでしょうね。ドイツ潜水艦(Uボート)映画、という水脈があるそうでまだまだ掘っていきたいジャンルだ。「神経症的な室内戦争映画」とでも言えるだろうか。「鮫と小魚」や「朝やけ」、「U-47出撃せよ」などがそれにあたるよう。なんかこれを見ちゃうと、連合国側視点のU-ボート映画を見れないかも。

アクションデーその1

a1. 『サマリタン』(ジュリアス・エイヴァリー)

a2. 『ダブルインパクト』(シェルドン・レティック)

a3. 『インターセプター』(マシュー・ライリー)

 

 

 

パソコン買い換えました。まあまあの高スペックなFUJITSUから超スペックの高いLenovo thinkpad14 gen4へ移行。うん、いい感じや。

 

 

 

a1.

アクションスターはスーパーヒーローとかいう肩書が必要なくても強い、強いことに説明が要らないが故にアクションスターなのだ、とか何とか偏屈なことを言っていたが、結構よかった。少年は良い役者でしたね。やはりスタローンは身を挺して生き様を見せてくれる役者だなあと思いました。身体が熱されずぎたときのスタローンのリアクションがツボ。また「停電爆弾」とやらが出てくる、れっきとした電気映画でもあった。

 

a2.

ヤン・スエ対ヴァンダム戦はアがった!期待値の盛り上げ方も、このタイマンだけは異様な迫力でおもしろかった。

 

a3.

かなり好きでした。戦争(もしくはテロ)という大局を描くのに、予算の都合もあるのでしょうが、非常に限定的な空間を選ぶ作劇に強く惹かれる。限定的だからこそ、映画内画面や大気圏内を飛行する核弾頭のインサートなどが引き出される。ポリティカルサスペンスの部類に入る作品なのでしょうが、そんなジャンルから漏れ出る格闘パートや、頭脳だけではどうしても解決できない肉体のドラマも展開され、見どころは多い。ただし格闘のクオリティは低く、エリザ・パタキーがやる意義を感じない格闘であった。

明日はいよいよ…

a1. 『イントロダクション』(ホン・サンス

a2. 『あなたの顔の前に』(ホン・サンス

b1. 『爆弾物処理班の遭遇したスピン』(佐藤究)

 

 

 

 

a1.

なんやこれはおもろかったぞ。三部作の内すべてに登場するのは将来が定まらず、ふらふらとドイツにまで恋人を追いかけていったり、俳優を目指してみたりする男で、一応彼の物語だとは言える。しかしその主幹からはみ出る部分がおもしろく、とくに居酒屋で先輩俳優から叱られる場面では、耐えきれずにおもわず飛び出してしまう青年をカメラがフォローするのではなく、その場所に残り続け、「言い過ぎたな」と泣きじゃくる先輩俳優にカメラが向けられる。このような作劇、ワンシーン=ワンカットでは場所がぐっと浮かび上がってくる瞬間があり、この感覚を掴んだ映画は強い。なお、ベルリンで脚本賞受賞とのこと。

 

a2.

「いきなり会話してる謎の二人」から場面をはじめるホンサンスの演出法では、会話劇によって徐々に小出しにされていく新情報に一々驚きながら見る。実は難病を患い余命僅かであることを、ふいに告白された映画監督。死ぬ前に君と短編映画を作りたい、と伝える彼だったが、翌朝には「昨日は酔っていたから言い過ぎた。君と映画を作るのは現実的ではない」とボイスメッセージが入る。この展開はとても良かった。ホンサンスは基本会話劇でありながら、あまり言葉を信じすぎていない。『イントロダクション』と比べると、少し長すぎる気もしたが見れてよかった。

 

b1.

『九十三式』が一番好みです。この本を読みたくなった。

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たった本一冊(厳密には二冊)のために再びニューギニアを体験しなくてはならなくなる主人公の末路と、その彼の内面の真実(浮浪児を野良犬とみなして焼き殺してしまった)とは裏腹にコルサコフ症候群というキーワードが導入されたことで揺らぎ出す現実との対比が何よりも読みどころ。さらには帝銀事件山田風太郎(!)が登場することで、あり得たかもしれない歴史を妄想する愉しみもある。山田に「江戸川乱歩全集」が手渡されるところなど夢想してしまいますな。古書店象眼堂というのも実在したのだろうか。次点は『猿人マグラ』でしょうか。こちらも空想歴史本的です。箱崎水族館が一度だけ言及されるのだけど(死体があがったらしいこと、それが『ドグラマグラ』に活かされている?)、もしやこれが『アクアリウムの夜』の元ネタのひとつだったりするのだろうか。

にしても、江戸川乱歩が同時代人に与えた影響というのは甚大なんですね。この前滝本誠さんと荒俣宏さんによる本の虫同士の対談を読んでいてもその影響力の大きさに驚いた。

brutus.jp