突破口!

a1)突破口!(ドン・シーゲル)                                 b1)ハウス・オブ・M(ブライアン・マイケル・ベンディス

 

 

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ウォルターマッソーは『突破口!』の翌年に公開された『サブウェイパニック』を見てい以来、この人が出ている作品には触れないようにしていたのだが(あの変顔映画は見ていて辛かった)、今回は不注意な事故。本作の彼は嫌いではないが、特段良いとも思えない。良かった俳優はジョンヴァーノンでしょうか。彼の「(マフィアの)連中には偶然なんて通用しない」という台詞に押されて支店長は自害する、口だけで人を殺す役を見事演じ切り、最後は車に轢かれて派手に死ぬ(死体は大写しにされる)。現場には最も遅刻してくるニューメキシコ州警察の愚鈍ぶりにニヤニヤ。「先を越した」とニヤニヤするジョードンベイカーも、実はウォルターマッソーに先を越されている。そんな二人が直接対決するラストも見事なのだが、私の不注意のせいか、中々浮上しないセスナ機は機会のトラブルによるものなのか、それともマッソーが相手を挑発しているのか分からず釈然としない。面白く見ながらもモヤモヤが溜まる一方であったが、後翼?を破壊され遂にセスナが機能不全、そしてタテに一回転!逆さまになりながらも(カメラも逆さまに)尚余裕を見せるマッソーに苛立つ。するとそれすらも彼にとっては織り込み済みであり、ベイカーは爆死。爆発する寸前に両手を大きく広げる、という大嘘と、派手な人肉片の飛散に万歳!「まあ、いいっか」と思っていたら、マッソーの予備の車のエンジンが中々かからない。マッソーは機械に愛されないキャラクターだったのだ、と「だからどうした」という話だが、腑に落ちた。(映画内で)始めて飛行する場面も、移動カットは飛ばされ、爽快感は皆無であった。他、印象的であったのはパークで隣のトレーターに住む伯母さんの役にマージョリーベネットは出演しており、さらに『マンハッタン無宿』での彼女の役とほぼ同じ役。途中イーストウッドについて言及する場面もあるし、これも観客を意識したジョークの一つなのだろうか?州警察を押しのけて現場に乱入してくる時の彼女とか、超良かった。また情報屋として、かたわの人が出ており、理屈は分かるが唐突な障害者の登場に、増村作品を思い浮かべたりもした。

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最近は卒業研究関連で九州地方の治水事業のことばかりで、楽しいけど頭痛くなってきたので息抜きに。ニールゲイマン『エターナルズ』を読んだときにも思ったが(尚カービー版は未読でいつか読みたいと常々思う)、原作にある物語の「型」はそのまま残して良かったんじゃないの?という感想を抱く。MoMについては、さすがにクイックシルバーを出すとワケが分からなくなること必至だが、ワンダを唆す輩がいても良かったはずだ。彼女が一人で抱え込むから所々鈍重な映画になっている。サイキック能力を持つ少女レイラミラーとテレパシー能力を持つエマフロスト(何がどう違うのかはよく分からない。確か説明記載されていたけどよく分からない)が脳内で邂逅する画が迫力満点、豪快で良い。映画で巨大脳みそと言えばソダーバーグ『迷宮の悪夢』の、巨大顕微鏡で覗いた脳みそか。意外と巨大脳みそ映画て無いの?『バロン』だったり『未来惑星ザルドス』には巨大なカオダケは出てきたか。豪快で良かったのは、マグナス家主催の式典に殴り込みをかける時の画も中々。ウルトロン?が墜落する、あのデカさが重要。まあただ、いくら発狂して手に負えないからと言ってすぐに掌返すアベンジャーズ…たった十年ほどの間で「知識人」から「アカ」にまで評価が変わってしまうアメリカの風土が生んだ鬼畜ヒーローたちの「会合」は、それはそれはクレイジーで、見応えある。