悪魔を憐れむ詩

a1. 『ワンダビジョン』ep.4-9

a2. 『オンリー・ザ・ブレイブ』(ジョセフ・コシンスキー

 

 

MCUにおける「赤」にはどういった意味があるのか。「赤」から何を読み取れば良いのかが分からない。アイアンマンは赤色で、性格に難はあるが一応ヒーローである。しかしウルトロンの赤い眼にはそこにヴィランを読み取れ、という。ワンダの赤い光線?はあくまでもヒーローで、スカーレットウィッチの赤い魔術はヴィラン。じゃあアガサの紫とスカーレットの赤とが衝突した時には?「赤」はヒーロー/ヴィランどっちにも転ぶ色として扱われているのか。現段階では「紫」が不吉な色であることは間違いないようだ。フェーズ4のヴィランは一体何色なんだろう?ギャラクタスも紫っぽい。ちなみに脚本執筆作業は2021年2月に既にスタートしているようです。

 

 

a1.

ぐいぐい面白くなって来た。『光る眼』的な不気味さがたまらなく良い。外界に向けては、昨日指摘した「放送事故」的な演出がなされているようで、芸が細かい。また設定として優れているのは、ウェストビューの住民はカメラが回っている間の記憶がないというもの。ワンダの現実改変能力によって洗脳されているからだが、これは恐ろしい設定だ。シットコムオマージュも、例えば『ドミノ』は年をとったシットコム俳優が酷い目に遭う話だったが、やはりそこに時間が澱んでいる感覚に耽溺したいという欲望があるのだろう。「生きた時間」が流れていなくて、「永遠」に放送されていてもおかしくはない。さらにそれをどこかへ向けて放送している、という病んだ仕組みも持つ。タイトルだけ見てギョッとしたのだが、ep.7のタイトルは「第四の壁」だそうで、素晴らしいです!製作陣は「映画」というものの病んだ側面に自覚的で、それすらも劇に取り込もうとしている。今の感覚から言えば、そうして始めて「映画」たり得る、というかそれがなければ「映画らしい」だけで、それは「映画」とは非なるものだ。好感しかない。クイックシルバー登場には驚きはなかった。

ep.7以降、一気に駄目になったな…。

 

a2.

ジェフ・ニコルズと並んで語りたくなるような監督。ド派手な山火事、こちらの想像を遥かに超えるスピードで火が迫ってくる。『オブリビオン』とか『トロン』を撮ってる人がこんな映画を撮るとは驚き。マイルズ・テラーのことを好きになった。やたらと匂いについての言及が多いのは何なんだろうか?近未来SFてたしかに匂いを感じないし、その反動でこうなった?「うわあ、これが最後の別れなのか」と観客に思わせるのが上手い。てっきりOnlt the Braveて最後の言葉からとられたのかと思っていたが、どうやら違うみたい。