見ていないホラー映画見ていくで~(day~)5 またしても目玉

a1. 『ルームメイト』(バルベ・シュローダー)

a2. 『恐怖ノ黒電話』(マシュー・パークヒル

b1. 『偽書が揺るがせた日本史』(原田実)

 

 

 

またまた面白そうな目玉映画を発見。『The Blood on Satan's Claw』という映画で邦題は『鮮血!!悪魔の爪』。どうやら『The Witchfinder General』・『ウィッカーマン』と並んでフォークホラー三羽烏の内の一つ。これは一体どういうシチュエーション?

The Witchfinder General』はレフンプロデュース、ジョン・ヒルコート監督で再映画化されるらしい。レフンは映画撮る才能はあまりない方だと思うけど、映画の好みは中々嫌いになれない。NWRでリマスターもしてるアンディ・ミリガンとか、『マニアック・コップ』とかね。『ウィッカーマン』も既にリメイクされているし、手垢が付いていないのは『The Blood on Satan's Claw』のみ。

双頭の殺人鬼。 | 江戸の杓子丸

あとこれもショッキングな肩に埋め込まれた目玉も発見、『双頭の殺人鬼』。

 

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↑すばらしいリスト。参考になります。

■次は角幡唯介『雪男は向こうからやって来た』を読む。

 

 

 

a1.

エロいし退屈。ジェニファー・ジェイソン・リーのふてぶてしい割にはくどくない芝居は毎度のことながら良い。他の俳優陣はみんな誰かに気を遣いながら演技してるのか?というくらい見る気を削いでくる芝居。些事でいうなら、途中TVで流れてるFront242のrhythm of timeが良かった。バルベシュローデルはもっと才能ある監督だとばかり。

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a2.

すばらしかった!映画のドライヴ感とは何たるかを捉え得た佳作。決め打ちで進まない夜も昼もない異様なテンポ、(プエルトリコで撮影された)荒んだ外観、夢でみるビジョンとはいえ廊下の突き当たりに黒電話だけが設えられている光景といい、異界への嗅覚もとても良い。黒電話を介して、時空のねじれが起こるというアイデアと、幼少期のトラウマの回帰というドラマとを組み合わせた見事な、セルジオ・カシーによる脚本にも唸る。『ロッジ 白い惨劇』も見てみよう。また、『ブラックフォン』とは違い電話越しの相手の見せ方を抑制することも効果的であった。「声」が狂気を伝えるのに最適であるのは例の失踪事件を見ても明らかである。そして『ナイトハウス』でも印象に残ったトリックアート的な恐怖ビジュアルが、こわい!私が気付いたのは2カットのみで、1つ目は木々かと見紛うほどの出で立ちの老婆を引きで捉えた、何ら思わせぶりではないインサートで、2つ目は屋内で陰の形が旦那を模したものになっているというもの、他にもあったのかもしれない。如何に幽霊を見せないか、に尽力していたJホラー胎動期の猛者たち、それを現代にそのままトレースしたところで効果は薄いが、視点を変えて「如何に幽霊を映しながら隠すか」という演出にはまだ可能性がある気がした。優れた映画は見ている途中、この作家は実は狂っているのでは、と思わせてくれる。

 

b1.

『和論語』の沢田源内、『椿井文書』の椿井政隆、『太田道灌自記』の田宮仲宣らに共通する偽書作成のモチベーションを「世間を瞞着すること」と解釈している。存在もしなかったはずの書が引用され、偽作によって生まれた新たな史実が人口に膾炙していく様子を眺めるのは快い遊びであろうと。そこに何か、偽作をせざるを得ない切実なる作者の内面の現実を読み取る、といった姿勢は見られない。しかしそれもアナール学派らや、原田実さん自身の研究の姿勢としては貫いておられることは述べられており(それだけではなく、受容の在り方や社会的影響などに焦点を絞って研究を進められているよう)、本書はあくまでも「偽書学入門」といった感あり。ききかじった程度の知識しかなかったため、とても面白く読む。現代篇では昭恵夫人×不二阿祖山太神宮

10月17日、18日 月刊ムーの編集長と行く富士高天原ツアーが開催されます

)、武田崇元の話、『第三の選択』『アイアンマウンテン報告』など知っているワードが出てきてようやく掴めてくる。しかし現代、というか近世以降/以前では偽書の成立するメカニズムが大きく異なるようで、たとえば江戸時代の営利権取得のための偽書作成(天皇制に基づく主張である)と、中世の異界との交感を主張する偽書作成とは大きく異なってくる。どうも中世の偽書作成の話は中々難しい。モチベーションを理解しづらい。とりあえず私が強く興味を抱いたのは酒井勝軍、それに対する狩野亨吉による『天津教批判』でした。ちなみに酒井勝軍はシベリア出兵の際にあの『シオン議定書』に触れているそうで、そこら辺も気になる。また『富士宮下文書』と記紀神話の見え方の転倒の話、や酒井勝軍の反ユダヤ感情が親ユダヤにコロッと変ってしまう契機には興味が湧いた。いろいろなトピックを紹介されているので、本書を起点に、これからはひとつひとつのトピックを丁寧に関連文献を読んでいこう。まずは「竹内文書」から。それから映画との関わりと言えば、「田中上奏文」をめぐる一連の映画たち(p.181に記載あり)も気になります。

・『「異端」の伝道者酒井勝軍』(久米晶文

・『謎の竹内文書:世界の中心は日本だった!』(佐治芳彦)→附図にあり

・『日本=ユダヤ陰謀の構図』(赤間剛)→東南アにあり

・『日本とユダヤ謎の三千年史』(高橋良典→東南アにあり

・『プラハの基地』(ウンベルト・エーコ)(『シオン』をめぐるフィクション)→附図にあり

酒井勝軍執筆の本たち