隣にいきなりおじさんが

a1. 『アメリカングラフィティ』(ジョージ・ルーカス

a2. 『リコリス・ピザ』(ポール・トーマス・アンダーソン

 

 

ひさびさに最前列で映画を見ました。すると映画の終わり間近、隣にいきなりおじさんが座ってくる。画面では選挙事務所が謎の男に狙われている。めちゃくちゃ恐かった。いやほんとに恐かった。思わず傘を手に取り突然の襲撃に備える。横目でチラチラ見ていたので、映画の終盤はまるで集中できず。やめてよ!

 

 

a1.

これもスターウォーズ。つまり時代から自由だという点において。時代も場所も異なる宇宙を舞台に、そこだけで展開される一夜の物語。1973年公開当時もおそらく同様の受け取られ方をしたのではないか。プロットが読めないことによる求引力というものも存在するよな、と。たった一夜に終始するとは思わずに驚いた。ルーカスにとっての田舎は、先が見えないだだっ広い土地を茫と眺める水平な視線と、それを俯瞰してみる大空からの垂直な視線の対比として描かれる。大本には『断絶』があると思うのだが、そこまで深刻に陥るわけではなく、多幸感がある。土地の磁場に引っ張られてはいるのだが、それを的確に示すカットがあるわけではないのだ。しかし、カリフォルニアに残った皆の、その後の人生がテロップで出るときにはじめて深刻さが訪れる。ボー・ホプキンスは素晴らしい俳優だと再認識。

 

a2.

ホフマンが急に連行される場面でのカットの飛ばし方が顕著だが、ああいった省略をしてポンポンとカットを積み重ねていく所は見れて面白い。警察署でわけも分からず釈放されたホフマンがあふあふする様子も可笑しくて、15歳かわいくてキュンキュン。ただその他の長いワンショットにはどうしてものれず、ピンボール屋を始める云々でアンナと揉める場面での手持ちのカットには、あれだけでかなり疲弊してしまったのを覚えている。狂人が練り歩くLAという舞台設定はたいへん面白く、ショーンペンにはじまり、トムウェイツ、ブラッドリー・クーパー(超良かった!)、ボー・ホプキンス似の喋ると意外と良い人そうな?ジョンビーバーズなど、みんな結局歩いてどこに行ってしまったのか、どうなってしまったのか分からせずに終わらせているところが良い。『アメリカングラフィティ』ぽいのかな、と思っていたのだけど、まるで違っていた。濃密な時間が流れている、というよりは風通しも良く、小さなサスペンスの積み重ねで持続せている。映画であることにあまり拘りがない感じがうけるポイントなのかしら。PTA、食わず嫌いせずに見てみようかなあ。『パンチドランク・ラヴ』、『マグノリア』、『ゼアウィルビーブラッド』はハッキリと苦手、『ファントムスレッド』はまだ良かった印象。