ガッツボーズ&ジ・エンドがいいのだ

a1. 『ファントマ/Ⅱ.ジューヴ警部対ファントマ』(ルイ・フィヤード)

a2. 『ファントマ/Ⅲ.ファントマの逆襲』(ルイ・フィヤード)

a3. 『ノロワ』(ジャック・リヴェット

a3. 『クローンウォーズ/S2』#15-17

 

 

a1.

最高!列車アクションから幕を開ける本作。ファントマ団も警察も大幅に増員され大きくスケールアップ、画面がより騒々しくなる一方、沈黙の処刑人(silent excecutioner)こと大蛇が大活躍。首を切断されながらも、獲物を捉えるため藻掻く姿は圧巻。見事ジューヴ警官らを出し抜き、爆弾で一網打尽、そして大きくガッツポーズでエンド。完璧じゃないですかこれは。前作のエレベーターに引き続き、今作では第一話の樽、第三話の空調、第四話の貯水槽、と両者さまざまな場所に潜む。『ドリーの冒険』以来の映画的作法を身につけている。またファントマは偽の腕、ジューヴ警部は肉弾スパイクと、服の下にも色々忍ばせ、騙し合う両者。面白いのは客室にファントマ団が一斉になだれ込む場面で、現実的に考えれば、明らかに無理があることをさらっと成し遂げている。ロケ撮影が印象的であり、パリの街での尾行など、この時代で既にここまで完成されていることに驚く。水辺も良かった。

a2.

ジューヴ警部の潜入捜査。カメラがパンした先にはかならずや死体があるのだから、何とも恐ろしい世界。奇妙なリストが登場、あれは犯罪の指令書ということなの?最後には、死体から手の皮を剥ぎ取りグローブにする、というとんでもなく猟奇的なオチが明かされ、エンド。一作目に引き続き留置場が登場するが、こちらも再び冤罪であり、フランスだからかどうしてもドレフュス事件を連想してしまう。至る所に偏在するファントマと同じように、反ユダヤ主義も偏在する…とか言いたくなってくるが、そこまでのメタファーを背負わせているかどうかは検討の余地大いにあり。ただ、「映画」と「冤罪」は相性が非常に良いと思うのだ。

a3.

酔っ払いのような映画で混乱しっ放し。不可視の規則が敷かれる古城にて繰り広げられる復讐劇は、ちょうど映画の真ん中で劇中劇が用意されており、その劇の内容は数時間前にまさにその城で起こった毒殺事件を再現したものである。その劇を境に、ジュリアとモラグの関係性は変容するのだから、ラフな印象が強いものの、構成の妙である。海賊団の連中が、一言も交わすことなく、天井に吊された縄にぶら下がって揺れる場面の怪奇的な画作りが強く印象に残る。規則でがんじらめの要塞・古城に比べて、屋外、主に洞窟付近や草原では、現実の規則を大きく凌駕する。死体が甦ったり、ジュリアが魔術を使ってルドヴィコを消し去ってしまったり、モラグが指を鳴らすと昼夜が逆転してしまったりと。この昼夜逆転や、フィルターをかけることによって画面の明るさがガラッと一変してしまう演出は繰り返される、はじめは、ジュリアが反乱勢に命を狙われる場面で、新月↔満月が二度繰り返される。終盤の仮面舞踏会で、その演出は極まり、言うなればサイレント映画的な、(たまたま今見ているわけだけど)フィヤードのような雰囲気を醸し出す。より犯罪映画的な色合いが濃いのは前作の『デュエル』だそうで、こちらは必ず見に行こう。気になる点として、かならず劇伴の音源(音楽隊)を映している。これは一体。『セリーヌとジュリー』でも、ジュリーが男と電話をする場面で、電話口にいるはずの男の声は、あきらかに同室にいるように聞こえる、といったおかしな音の実験を試みている。

a4.

#15. クローン戦争期のコルサントは特に治安が悪い。毒殺されるパドメの伯父。嫌疑をかけられるは、カミーノアン。前回から引き続きよく警察が出てくる。結局は増兵が採択されてしまう、というパドメからしたら渋いエンディング。

#16. ユラーレンとアナキンの信頼関係が泣かせる。かつての仇敵トレンチが登場。重要な戦闘機としてステルス機が導入される。

#17. 七人の侍回。尺の関係もあると思うが、皆で作戦会議をする場面も映して欲しいところ。